公開講座「今、エネルギーを考える」のご報告

Date:2015.01.21

公開講座「今、エネルギーを考える」のご報告

 

 東北大学 流体科学研究所主催、日本保全学会 東北・北海道支部共催の公開講座「今、エネルギーを考える」が、12 月13 日(土)に東北大学 片平キャ
ンパスにて行われ、盛況の内に終了いたしました。ご講演者ならびにご来場頂いた参加者の皆様、またご尽力賜りました関係者の皆様へ、心より御礼申し上げます。
 本講座は、東北大学流体科学研究所と、日本保全学会東北・北海道支部との共催により、エネルギー問題を多面的な視座から見直し、あらためて日本のエネルギー 政策を考えていくことを目的として開催され、冬空の寒い天候にもかかわらず105 名の参加者にご来場いただきました。

<東北大学片平さくらホール>
<開会の挨拶:
東北大学 高木敏行教授>

 

 第一部では、「エネルギー・経済政策を考える」をテーマに常葉大学山本隆三教授による講演と、東北大学高橋信教授をコーディネータとして質疑応答が行われました。
 山本教授の講演「エネルギー政策で幸せを創ることは可能か」では、実際のデータに 基づいた認識の重要性を基軸に、日本と世界各国との対比を交えつつ経済指標から紐解く 「失われた20年」とアベノミクスの意味合いに関する解説があり、加えて各国の再生可 能エネルギー・原子力に関わる現状と今後のエネルギー政策の要点について説明が行われました。また、実データを無視した一部報道番組の実態例等の提示もあり、予定時間を上回る1時間40分にわたる聴衆を魅了する講演でした。  

<山本隆三教授 ご講演の様子>
<質疑応答の様子>

 

 第二部では、「新規制基準を考える」のテーマで、東北大学橋爪秀利教授による講演が行われました。橋爪教授の講演「新規性基準があれば福島事故の影響は軽減されたか」では、日本保全学会 東北・北海道支部の仮想的バックフィット検討会で行われた津波対策の妥当性評価等について紹介がありました。講演の中で橋爪教授は、福島事故を踏まえて、安全の考え方は変った
のだろうか。基準を上げただけで、これを超えたらダメであった、ということにならないようにするのが大事である。また、事業者はいろいろ対策を講じたが、マインドは本当に世界最高か。例えば、25m の防潮堤があれば大丈夫と考え、その先を考えないようでは問題である。と提言し、規制当局や電気事業者に対して継続的な安全対策評価の実施を要望しました。

<橋爪秀利教授 ご講演の様子>

 

 閉会にあたり、東北大学 流体科学研究所 高木敏行教授(日本保全学会 東北・北海道支部 支部長)より、講師及び参加者の皆様への感謝の辞が述べられ、今回の公開講座のテーマであった「今、エネルギーを考える」について、示唆に富んだ話を聞けたので、皆さんにも、自分で考えて、いろいろな方に伝えていただきたい、との呼びかけがありました。

講演の概要資料はこちら(リンク)よりダウンロードできます。

・2015/08/31追記
参加者アンケートの集計結果(抜粋)を掲載致します。