日本保全学会東北・北海道支部 設立趣意書
日本保全学会は2003年10月3日に設立されてから、それまでの日本機械学会の軽水型原子力プラントの保全に関する調査研究結果を踏まえ、さらに広く、産業設備などの構造物全般を対象に、保全の専門家として保全の学術化に取り組んできました。
またこの間に日本保全学会は学術講演会の開催、セミナーの実施、学会誌の発行などの学術活動を展開し、産学官それぞれの立場から保全に関しての検討を行ってきました。そしてその成果の一部をホームページなどに公開し、保全の重要性を社会に認識してもらうことができたと考えています。
発電設備における「保全」はその信頼性・安全性と密接に関連することから、運転保守管理に体系化された保全の取り組みが反映されれば、社会的受容性が一層向上し、原子力発電に対する国民の安心感と信頼感を醸成するのに有効と考えられます。
これらの趣旨を踏まえ、今後は今までの日本保全学会の活動を基礎に、より多くの方々に日本保全学会の活動に参加してもらう必要があると考えております。
現在、我国にある商業用原子力発電所55基のうち、23基が東北・北海道地区に設置されており、総発電容量は21,740MWに達しています。これは我国の商業用原子力発電所全体に対して基数で42%、発電容量で44%と大きな比率を占めています。またその他の原子力施設として、日本原燃(株)の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター、ウラン濃縮工場および低レベル放射性廃棄物埋設センター(青森県六ヶ所村)が操業しており、東京電力(株)の東通原子力発電所(青森県東通村)、電源開発(株)の大間原子力発電所(青森県大間町)が、今後運転を開始することとなっていることから、東北地方は益々原子力の重要な地域となっていくものと考えております。
これらの原子力施設はもとより、原子力以外の施設の安全性の確保のためには保全活動を確実に行う必要があり、東北・北海道地区に根ざした保全の学術的な検討を行うために日本保全学会東北・北海道支部を設立するものであります。