日本保全学会第9回学術講演会の開催にあたって
本講演会は、平成23年3月11日の「東日本大震災」の発生後、2度目の学術講演会となります。昨年度は、震災の影響で当初の予定通り開催することができず、特別編として急遽実施され、40件の講演がございました。今回の講演会では、100件の講演申込を頂き、保全に関わる研究や技術開発が順調に回復しつつあると実感致しました。ここに、プログラム委員長として厚く御礼申し上げます。
一方、福島第一原子力発電所の大事故により、現在もまだ多くの近隣住民の方々が避難生活を強いられており、今後の帰還の見通しも、まだまだ不明な状況にございます。日本保全学会の一員として、原子炉の安全性向上に向けた努力をさらに続けなければならないということを痛感しております。すなわち、従来の保全の考え方、つまり、いわゆる性能を維持するということに視点を置いた保全活動というものを、今後は、仮に過酷事故が発生したとしても、事故を収束させることができるという、新たな保全活動へと展開して行くことが、これからの責務であります。丁度、大飯原子力発電所3号機が再稼働し発電を始めておりますが、今回の事故を受けて実施された安全対策が将来にわたり機能することはもちろん、さらに高度なものに発展することへの第一歩となると思っております。
末筆ですが、プログラム編成、講演論文集の編集・発行にあたり、実行委員会、プログラム委員会、日本保全学会の事務局の方々に、多大なご支援・ご協力をいただきましたことに、深く感謝申し上げたいと存じます。
2012年7月6日