前回の第3回セミナー「新検査制度の導入に向けて」では、平成20年度からの導入に向けて準備が進められている原子力発電所の新たな検査制度が取り上げられ、活発な意見交換が行われました。新検査制度のポイントの一つは「安全確保上重要な行為に着目した検査制度の導入」であり、そのなかで、「現在停止中に集中している検査に加え、運転中の検査を強化していく」ことが期待されています。
第4回となる今回のセミナーでは、新検査制度において導入が期待されている「状態監視技術」に焦点を当てます。しかし、「状態監視技術」といっても一括りで表せるものではありません。本セミナーでは、基調講演として豊田先生(九工大)に「状態監視技術とは」のテーマで講演いただき、方向付けをしていただきます。また、原子力安全・保安院の福島首席統括安全審査官には、「新検査制度と状態監視技術への期待」と題して、「状態監視技術」の導入により新検査制度の下で安全確保の一層の徹底が図れることへの期待感について講演していただきます。各セッションでは、各産業分野で状態監視技術の開発や現場適用に腐心されている技術者の皆様に講演いただき、以下のような疑問に関する情報を提供いたします。
• 状態監視技術の適用によって、果たして故障は減らせるのだろうか?(セッション1)
• これまでどのような技術がどの現場で適用されているのだろうか?またどういう課題が残されているのだろうか?(セッション2)
• 発電プラントでの適用例はあるのだろうか?海外での実情はどうなっているのだろうか?(セッション3)
さらに、状態監視技術を有効にするための方策は何なのだろうかという観点からパネル討論「状態監視技術の有効性に関する徹底討論」(セッション4)を行い
ます。ここでは、事前に参加者の皆様からいただいた質問に対する回答も含めて、徹底討論をしていただきます。
原子力プラントにおいて状態監視技術の必要性が声高に叫ばれていますが、現場への適用はこれからと言うのが現状で、むしろ原子力以外の産業での適用実績が先行していることは否めません。本セミナーでは、各産業界における関係者の方々が一堂に会して議論する又とない機会ですので、積極的に議論に加わり、状態監視技術の現状と課題を共有していただければ幸甚です。
最後になりますが、講演者及び座長の方をはじめとして、本セミナーにご協力いただいた方々及び関係機関に心よりお礼を申し上げます。また、日本保全学会事務局の皆様には本セミナーの企画段階から大変お世話になりました。記して感謝の意を表します。