福島第一原子力発電所の事故後から数えますと、今回で4回目の保全セミナーの開催となります。未だに故郷に戻ることができず、避難生活を強いられている方々に心よりお見舞いを申し上げると同時に、一日も早い帰還ができますように、全力で復興の支援を進めて参りたいと考えております。
現在、原子力規制委員会(以下、NRAと称す)においては、原子力発電所の新基準適性の審査会合が、鋭意進められており、PWRプラントの事業者である、九州電力(川内原子力発電所1号機及び2号機)については、申請された設置許可変更の届出が受理されました。
後続のPWR事業者においても順調に審査が進むとともに、現在鋭意審査が進められているBWR事業者においても、継続的に審査が進んでいくことを願っているところであります。
このような中、今回の第15回保全セミナーにおいては、現在、本格化しているNRAの審査開合の中で進められている数々の審査項目について、保全学会で議論している内容を紹介することとしました。
保全学会では、(奈良林)会長を主査として、原子力規制関連事項検討会が立ち上げられており、現在進められているNRAによる審査項目に対して、中立の機関としての立場で、より深い議論を重ねたうえで、NRAに意見を提案していく検討会であります。
今回は、原子力事業者のそれぞれの取組みについてセミナー参加者とともに考える機会として、本セミナーを企画致しました。
第一部では、現行規制の課題と提言についてと題して、現行の適合審査と運転期間40年制限に関するご講演をお願いしております。
また、第二部では、安全性向上への取組と題して、現状の原子力発電所の新規制基準適合性審査への対応状況と保全学会で進められている原子力規制関連事項検討会で議論してる個別の項目についてご講演をお願いしております。
原子力発電所の保全に係る技術者として、未解決の技術的課題に挑戦して行くことは当然のことですが、従来は他の専門家に任せておいた事案についても積極的に耳を傾け、自ら議論に加わるつもりで、安全性向上に向けた活動を進めて行くための一助となれば幸いです。
最後に、講演者および座長の方々をはじめとして本セミナーにご協力頂きました皆様ならびに関係機関に心より御礼申し上げます。又,日本保全学会事務局の皆様には本セミナーの企画段階から大変お世話になりました。記して感謝の意を表します。