福島第一原子力発電所事故はそれまでの原子力発電所の安全性に対する考え方や安全性確保などに抜本的な見直しを迫るものであり、特に事故に対する安全機能のRobust性や事故対応のResilient性を真に向上させること、また、事故対策の妥当性を説得力ある形で説明できるようにすることの重要性が認識されるようになった。たとえば、地震後に想定する高さ以上の津波が来襲した場合でも、設備対策にRobust性が、事故対応にResilient性があり、事故に対する高い抵抗力があることを確認し、それを十分に説明できるようにすることが必要である。
福島第一事故後、従来よりも格段に高度な原子力安全を要求する新規制基準が施行され、既設発電所の安全性がより一層強く問われることになったため、本書で、津波が来襲したというシミュレーションを実施し、事故後取られた対策で安全性が格段に向上したことを証明するとともに、その内容を世の中に判り易く説明できるようにする。
―本書「1.はじめに」及び「2.検討計画」より抜粋―