近年は、地球環境に配慮しながら設備の安全性・信頼性を保ちつつ、合理的に経済性を追求する持続循環型の社会が志向されています。
保全は社会や経済と密接に結びついています。故障や損傷、事故などのリスクとの関係から資源(人、物、金)をどのように投入すれば、全体として効果的な保全が可能であるかといった保全の在り方を、数理的、学術的手法を用いて論じることが重要となってきています。単に技術的な分野のみならず社会的な面も含めて保全を考えてみることは、未知の分野でもあり、非常に興味深い対象です。本書では、学術的にも魅力のある「保全」の世界について多くの人が関心を持ち、近い将来、前述のような数理的、学術的考え方のできる人材が数多く輩出するようになることを期待して、保全に関する基本的考え方や基礎について解説します。
―本書「第1章 はじめに」より抜粋―