日本保全学会第15回学術講演会の開催にあたって
平成30年7月現在、九州電力川内原子力発電所1・2号機、玄海原子力発電所3・4号機、関西電力高浜原子力発電所3・4号機、大飯3・4号機、広島高裁に運転差し止めの仮処分をされているものの四国電力伊方原子力発電所3号機など、加圧水型軽水炉プラントは計7基が再稼働を果たしました。また、関西電力高浜原子力発電所1・2号機、美浜原子力発電所3号機も設計および工事の方法に対する認可が下りました。これから再稼働が続くものと推察されます。
一方、沸騰水型軽水炉プラントは、東京電力柏崎刈羽原子力発電所6・7号機の2基の改良型沸騰水型軽水炉のみが新規制基準適合許可を得ている状況であり、加圧水型軽水炉プラントに比べて再稼働は進んでいません。
運転プラントの安全を確保するために、わが国の安全規制においては、新たな検査制度が取り入れられようとの試みが始まります。そのような状況において、先に再稼働した原子力発電所に求められることは、事故やトラブルを起こさないことであり、継続的に安全性を向上するための基盤を構築することでしょう。そのために保全の果たすべき役割は、今後益々重要となると考えます。
日本保全学会では、材料評価、健全性評価、検査・診断、補修、安全性向上、安全対策、リスク評価、再処理、廃炉技術、研究炉・高速炉、保全社会学など、保全が抱える様々な分野の課題を包括的に取り入れ、安全性向上に資する保全の在り方の構築に今後とも取り組んでまいります。
第15回学術講演会が会員同士の情報交換・議論・成果の共有を行う場とすることで、そのための貢献の一助となることを期待します。
2018年7月10日