沸騰水型軽水炉(BWR)の炉心シュラウド(炉心槽)は、炉心の燃料棒を取り囲むステンレス鋼製の円筒であり、炉心内の上向きの冷却材流と、その外側の環状部を下向きに流れる再循環流とを分離するとともに、炉心などの原子炉容器内の構造物や機器を支える役割を果たしている。

1990年にスイスで炉心シュラウドにひび割れが見つかって以来、欧米諸国や日本のBWRにおいても同様のひび割れが見つかり、世界的に問題となった。欧米諸国では部分修理が行われてきたが、我が国では、これまで困難と考えられていた炉心シュラウドの交換工事を世界に先駆けて実施した(福島第一3号機で1998年9月に完了)。この工事は、高放射線量率環境にある炉内の大型構造物等を、遠隔で取り替えることができることを実証したもので、歴史的意義は大きい。

シュラウド等の交換により、炉内構造物が抱える材料劣化問題を一気に解決し、その後の保全管理の負荷を大幅に低減することができた。技術開発で培われた SCC 対策技術、 遮へい技術、遠隔工事や検査の技術はその後の予防保全に幅広く展開され、福島第一廃止措置対応にもこれらの技術が活用されている。

 

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認定番号 保全遺産第6号
年度 2022
対象名 沸騰水型軽水炉(BWR)の
炉心シュラウド等の交換工事
所有機関 東京電力ホールディングス㈱
中国電力㈱
日本原子力発電㈱
東芝エネルギーシステムズ㈱
日立 GEニュークリア・エナジー㈱