原子力プラントの給水加熱器は高温かつ高速の蒸気流が浸入してくるため、内部構造が減肉するとともに、伝熱管を支持するササエ板の管穴が蒸気流により拡大して流力振動による伝熱管とササエ板の衝突・摺動が経年的に発生することにより、伝熱管が損傷・破断に至った事例があった。

従来は管穴の大きさを確認する手段がなかったが、伝熱管検査に用いる通常の渦流探傷法の特徴を活かし、周波数や感度等の調整を繰り返して、管穴の位置で管穴の大きさに応じて生じる渦電流の変化量から管穴の大きさを精度よく測定する技術を開発した。

これにより、伝熱管の減肉の有無の検知と同時にササエ板の管穴測定も実施することで効率的な検査が可能となり、熱交換器の開放点検期間の短縮に大いに寄与している。また本技術の適用により、伝熱管減肉を予防保全として管理することができ、伝熱管の損傷・破断の発生防止に貢献している。本技術は浜岡原子力発電所1号機に適用(1989年)され、それ以降多くのBWRプラントに適用されている。

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認定番号 保全遺産第11号
年度 2023
対象名 熱交換器伝熱管ササエ板の管穴
拡大量測定技術
所有機関 東芝エネルギーシステムズ㈱
日立GEニュークリア・エナジー㈱/日立交通テクノロジー㈱