原子炉容器(RV)は一次冷却系主要設備の一つで、炉心を収納し、通常運転時の高温・高圧、異常時の過渡変化に耐えられ、高速中性子の照射による材質の脆化などに対しても、原子炉冷却材圧力バウンダリとしての機能を果たす役割を持っている。
その健全性が維持されていることを確認することは極めて重要で、定期的に超音波を使った検査(UT)が行われている。
従来のマスト方式のUT装置に替えて、水中自航式の「A-UTマシン」が開発され、1995年に世界で初めてRVの検査に用いられた。これにより、従来20.5日を要していた検査期間を14日間短縮して6.5日とし、大幅な作業期間の短縮に成功した。
システムの転換及び倣い性に優れた7軸マニピュレータの採用等により、省スペースで高精度の検査を実現することができた。本技術は福島第一原子力発電所での内部調査ロボット(MEISTER)などにも活用されている。
本マシンは既に国内の加圧水型原子力発電所(PWR)の定期検査において46回の適用実績があり、国内PWRの原子炉容器内面円筒胴UTのデファクトスタンダードとなっている。

 

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認定番号 保全遺産第1号
年度 2020
対象名 原子炉容器用自動超音波探傷装置 A-UTマシン
所有機関 三菱重工業㈱