設置趣旨2021年9月設置
CNEとは、Carbon Neutral & Nuclear Energy、の略称である。その意は、地球温暖化防止に関するCO2排出量の削減運動が世界的に展開される中で、我が国も2013年比で2030年に46%の削減、2050年にCarbon Neutralを達成するとの国際約束を守る活動が始まっている状況の中で、この国家的プロジェクトの中で保全学会が貢献できる分野と課題を抽出し、保全学会の更なる展開を図るというものである。
その中で、CO2削減に貢献できる原子力の有用性は明白であるが、環境原理主義者は原子力を否定するなど、CN達成を左右する要因の分析は現在十分に実施されておらず、机上の期待だけが先行している状況にある。
そういう状況をとらまえて、保全学会としては、原子力がCNプロジェクトの成功のカギを担っているという否定できない事実を勘案して、それを原子力再興の「神風」にしたく、新しい視点を模索・探求しながら、新しい展開の契機にすることを意図して、新しい研究委員会の設置を提案している。
本研究委員会では、原子力発電に関する従来の課題はこれまで通り追求するという姿勢は維持しながら、以下にのべる新しい分野を開拓していく。例えば、再エネと原子力の共生(負荷追従、熱貯蔵)や原子炉の熱と電力を利用した水素製造等が検討課題の例である。
このような一連の動きは、これまで保全学会が取り組んできた主に原子力発電を対象とした技術体系を拡大することを意味する。これらの中で、これまで蓄積されてきた保全技術の進歩の契機とすることも重要である。
要するに、目的は2点あり、一つは保全学会の進化であり、もう一点は、CN計画の成功は原子力なしには困難を極める、ことを示すことにある。
検討体制
案件の重要性を考えて、分科会レベルの活動を超えた「研究委員会」にして幅広く活動を展開したい。活動方法の概要は、以下の通りとする。
(1)研究委員会の設置と運営
- 名称は、<カーボンニュートラル・原子力>研究委員会(英語名は、CNE研究委員会)である。
- 委員会の下に当面、技術開発検討会、情報収集・評価検討会、を設ける。必要に応じて検討会は追加できる。
- 活動費は、原則、外部資金を獲得してそれに当てる。
- 承認されれば、準備会を立ち上げ、10月から徐々に活動し始める。
(2)研究課題
今後、課題を検討していくが、下記のような項目が考えられる。
- 風車のナセル内のコンディションモニタリングシステムの開発(音響診断技術、AI適用等含む)
- 太陽光パネルの廃止措置技術
- 変動型電力供給の最適化問題
- 小型原子炉技術の保全問題
- 水素製造/活用技術の研究開発 等
報告書
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カーボンニュートラルに対する原子力の貢献に関する調査報告書(目次・序言 のみ)
(「終わりに」)より抜粋
本報告書は、カーボンニュートラルへの原子力の貢献に係る課題について検討した結果をまとめたものである。
カーボンニュートラルの達成には原子力が不可欠であることは、再生可能エネルギーの間欠性やそれに必要な自然条件などの科学データ、さらには要求されるCO2削減量、などの科学的分析から論を待たない、カーボンニュートラルの全体像を理解することは難しいことである。本報告では、そのことに鑑み、カーボンニュートラルに関する基本的で重要な事項を調査しまとめることとした。
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カーボンニュートラルについての様々な課題と解決策を理解するための一助となると考えている。