1.本分科会の目的

本分科会では、いわば健康診断の段階で未然に病根を絶って治癒率を上げ、早期の社会復帰を目指すように、き裂などの欠陥ないしはそのような欠陥に至る前に材質劣化部を早期発見し、補修あるいは劣化の進行抑制処置を施した上で再利用することにより、機械・構造物のディペンダビリティ*を高めることを目指し、それに必要な検査・診断技術を確立することを目的とする。そのため、主な材質劣化と破壊機構の調査研究(材質劣化)、各材質劣化に最適な検査・診断技術の開発(診断技術)、及び開発した検査・診断技術の活用方法の検討(保全計画)を、相互に関連させ、有機的、統合的に実施する。
(*ディペンダビリティ: 必要な時に安全に使用できる度合)

2.活動概要

2.1 活動の方針

以下の3項目を主な活動の方針とする。

(1) 主な材質劣化と破壊機構の調査研究(材質劣化)
(2) 各材質劣化に最適な検査・診断技術の開発(診断技術)
(3) 開発した検査・診断技術の活用方法の検討(保全計画)

本分科会では、「材質劣化」、「診断技術」、「保全計画」と保全学との関係を下図に示すように捉えている。

2.2 平成23年度の主な活動(含予定)
2.2.1 分科会の開催

もんじゅ特進公募(高クロム鋼および316FR鋼のクリープ損傷に関する強度評価技術、寿命予測シミュレーション技術、非破壊検査技術および損傷治癒技術の開発)に関する研究進捗状況報告および意見交換と関連研究紹介を実施した。

(1) 第1回
  日時:8月19日13:30~17:30
場所:日本保全学会会議室
議題:「高クロム耐熱鋼の組織とクリープ損傷」
(2) 第2回
  日時:12月10日13:30~18:00
場所:東京理科大学九段校舎機械工学科会議室2
議題:「もんじゅ特進公募に関する研究進捗状況報告」3件
(3) 第3回
  日時:1月27日13:30~17:30
場所:日本保全学会会議室
議題:「安全要求に基づく高速炉機器の目標信頼度の導出検討例」
「もんじゅ特進公募に関する研究進捗状況報告」3件
2.2.2 学術講演会でのOSの企画

第8回学術講演会(特別編)にて、OS「B3 もんじゅ」を企画。基調講演1件「高速増殖原型炉「もんじゅ」の保全」及び一般講演4件の発表。

2.2.3 報告書の発行

年度末に、本年度の活動報告書を発行。

2.3 平成24年度の活動予定
2.3.1 分科会の開催

6月、9月、12月、3月の4回程度を予定。主な議題等は以下の通り

(1) もんじゅ特進(高クロム鋼および316FR鋼のクリープ損傷に関する強度評価技術、寿命予測シミュレーション技術、非破壊検査技術および損傷治癒技術の開発)に関する研究計画検討、研究進捗状況報告および意見交換会等を平成23年度に引き続き実施する。
(2) 各委員からの材質劣化評価に関する活動状況の報告、あるいは材質劣化評価の必要性に関する提出してもらい、それらについて議論する。
(3) 今後の分科会の活動に必要なテーマ(特に、専門とする委員が少ない保全計画や安全工学に関するテーマ)について、分科会での講演・勉強会を実施するとともに、分科会の今後の活動への取込みについて検討する。
(4) 各委員の所属機関への訪問、見学会および講演会を開催し、委員間の学術的交流の一層の促進を図る。

 

2.3.2 学術講演会でのOSの企画

第9回学術講演会にて、もんじゅ、高速炉関連のOSを企画提案・開催する。
他学会(日本原子力学会、日本機械学会等)主催の学術講演会等についても、オーガナイズド・セッションの企画・提案・開催を従来通り積極的に実施する。

2.3.3 報告書の発行

3 組織

調査研究活動組織を下記に示す。

主 査 中曽根祐司 (東京理科大学工学部)
副主査 山下 卓哉 (日本原子力研究開発機構)
幹 事 高屋 茂 (日本原子力研究開発機構)
委 員 内一 哲哉 (東北大学流体科学研究所)
遠藤 久 ((株)日立製作所 電力・電機開発研究所)
岡 茂八郎 (大分工業高等専門学校)
加藤 英二 ((株)前川製作所技術研究所)
欅田 理 (住友金属テクノロジー(株))
齋藤 雅彦 ((株)マエダ)
鈴木 隆之 (産業技術総合研究所)
槌田 雄二 (大分大学工学部)
寺本 徳郎 (筑波大学大学院)
長田尚一郎 (宮崎大学工学部)
藤山 陽一 ((株)島津製作所)